● 今回の先生 雑穀農園 想樂や 伊藤理絵さん
食について調べるうちに雑穀に出会い自分で育てたい!と農業に挑戦
樂しい!おいしい!を目指して奮闘中
好物/お菓子
● テキスト・イラスト 川瀬 知代
個展など発表の他、アパレルや書籍などにて絵を描く
「粒粒」の名で食にまつわる活動を行う
2020年末に故郷いなべに拠点を移す
今回ご紹介するのは「エゴマおむすび」です。
藤原町で農家をされておられる伊藤理絵さんに、新米とエゴマを使った美味しいおむすび2種を教えて頂きました。
シンプルだからこそ是非皆さんにも作ってみてもらいたいです!
いなべは米どころです。
山に囲まれた田園は、いなべの美しい風景の象徴ではないでしょうか。
伊藤さんの田畑も山の麓にあり、冷たい綺麗な水が一番に降りてくる田んぼで作られるお米は絶品です。
伊藤さんは赤米と黒米も作ってますが、白米は「ミネアサヒ」という品種を作られています。
ピカピカと輝く美しい新米を炊いて下さいました。
小粒でお米本来の粘りと甘みがあって冷めても美味しくツヤツヤで、しっかりと噛み応えがあり
まさに、おむすびにピッタリです!
お米の他にも雑穀類やキャッサバなど珍しいお野菜も色々と作られている伊藤さんですが
「お米作りは本当に難しい~。いなべのお米農家さん達はすごい!」とおっしゃっていました。
お米、身近でありながら奥が深いですね。
そしてエゴマです。皆さん「エゴマ」ってご存知ですか?
最近は「エゴマ油」が売られているのをよく見かけるようになりました。
韓国料理のポッサム(豚肉をキムチなどと一緒葉で巻いて食べるお料理)の葉! それがエゴマです。
まだ少し馴染みがないかもしれませんが、
漢字で書くと「荏胡麻」/シソ科シソ属に分類される一年草です。
見た目もとても青紫蘇(大葉)に似ています。
エゴマといえば、オメガ3脂肪酸を多く含んだ食材として重宝されています。
血流をよくし血管の改善、血圧やコレステロールの低下など生活習慣病を予防する効果や、抗アレルギーや認知症にも効果的だと言われているのです。
葉も実も食べられます。実はプチプチと食感を活かして食べてもいいし、擦りゴマのように擦って、おかずやご飯にかけたり、トーストやヨーグルトにかけたり、何にでもかけて食べて摂取できます。
自然のサプリメントとも言えましょうか。
エゴマ! すごいじゃないか! とハイタッチしたくなるような食材です。
5月末に種まきされ、9月末にエゴマ畑を訪ずれた時には、葉が生い茂り青々と風になびいていました。
フレッシュな葉をたくさん採らせて頂き、生で刻んで食べたり、しょうゆ漬けにして食べたりと、色々と美味しく頂きました。
10月末に実を付け枯れ枯れになったところを収穫されるそうです。
刈り取り後の作業をお聞きし、そのあまりの手間暇に仰天しました!
刈り取り → 干して乾燥 → 叩いて叩いて脱穀 → 篩(ふるい)にかけ実のみにする → 唐箕(※とうみ)を3回かける → 3回洗う → 干して乾燥……
最後は、雑草の種や虫が混じらないよう、伊藤さんご自身の目であの小さな粒をピンセットを使って選別されるそうです。
(※)唐箕……風力を利用し穀物を精選する農具。
ため息がこぼれ出るほどのお手間いりでございます!
昔よくお米を残すと「目が潰れる」と言われましたが、それくらい、お米もエゴマも野菜もなんだって、一粒残さず大事に食べて欲しい! という事なんですよね。
それに対して「いただきます」感謝し頂戴いたします。と手を合わせる食べる側の気持ち。
このスパイラルがとても大切ですね。
お米作りも野菜作りもあらゆる農作業は大変だと思います。
天候と時間を見極めながら田畑に向き合い、ひたすらに黙々と作業をこなす毎日。
まして伊藤さんは、できるだけ手作業で、消毒もせず科学肥料も使わず、猿や猪などの獣害と隣り合わせで農作物を作って、ご自身で脱穀や選別などもしています。
「まだまだ新米農家です」とはにかんでおられますが、敬服です!
新米とエゴマと伊藤さんに拍手です!
そんな伊藤さんの「エゴマおむすび」は”口福”であり幸福しかないありがたい逸品でした。
エゴマの実(お好みの量)をフライパンで軽~く炒って、パチっと弾ける音がしたらすぐ火を止める(オメガ3脂肪酸は熱に弱いため)
擦り鉢で9割残しくらいに擦る
とっても良い香りがします!
擦ったエゴマと醤油(適量)を混ぜ「エゴマ醤油」を作ります。それをご飯と混ぜ合わせ、おにぎりにします。
擦ったエゴマと塩(適量)を混ぜ「エゴマ塩」を作ります。手塩に取り、おにぎりにします。
ご飯の甘みとエゴマの風味と香ばしさと醤油や塩の塩味のバランス! とっても美味しいです。