● 今回の先⽣ 藤井 かをりさん
藤原町在住
自然の恵みに感謝して日々の暮らしを楽しむ事をモットーに
⾃宅の庭や⾃宅付近の⼭々に出向き、美しい季節の植物を愛で
写真を撮り記録に残す⽇々をたのしむ
好物/ あんこ
● テキスト・イラスト 川瀬 知代
個展など発表の他、アパレルや書籍などにて絵を描く
「粒粒」の名で食にまつわる活動を行う
2020年末に故郷いなべに拠点を移す
今回ご紹介するのは「榧(カヤ)せんべい」です。
榧ってみなさんご存知ですか?針葉樹で⾷べられる実をつけます。
今回は、その実を使ったお菓⼦のご紹介です。
藤原町にある藤井かをりさんのお宅には、榧の雄の⽊と雌の⽊があるそうで、秋になると実が落ちるそうです。
その榧の実をたっぷり⼊れたかき餅。
かをりさんのお家では「榧せんべい」と呼んで昔から親しまれているそうです。
秋、榧の実を拾い、灰汁(灰と⽔を混ぜたもの)に1 週間程漬けてアクを抜き、外側の⽪が腐ってくるので取り除き、殻付きのままネット袋に⼊れて、2〜3 ヶ⽉程⼲しておくそうです。
(そうしないと⽣の実はアクとヤニがとても強く⾷べられないそう)
そして、お餅作りをする前⽇までに、実をカナヅチやペンチで割って殻から中⾝を出しておく。
下準備に数ヶ⽉を要するわけですね〜。
榧の実は「和製アーモンド」と⾔われているそうで、味もアーモンドとか椎の実などに似てい
て、ビタミンEたっぷりと栄養価も⾼く、ちょっとしたクセもあり、⾵味豊かで美味しいなぁと私は思っています。
かき餅は、今のところ榧の実を堪能できる唯⼀のメニューとしてありがたく⾷べていますが、他にも、いわゆるナッツとして、⾊々なお菓⼦屋お料理に使ってみたいと思うような魅⼒的な⾷材です。
かをりさんのお宅では、今も年末には家族と杵と臼で餅付きをして突き立てのお餅を手のこぼ(菜餅や餡子餅など)にして食べたり、春にはヨモギや桜の花を摘んでヨモギ餅や桜餅を作って季節を楽しんでいるそうです。
「旬を味わう、季節を味わうのが1番のご馳⾛」という名⾔を頂きました。メモメモ。
かき餅も季節の⾷べ物の⼀つ。
お正⽉が過ぎ、⼤寒を超えた頃が、かき餅を作る時期。
そして、3 ⽉中頃から今時分、⼲しておいたかき餅を寄せて⾷べられる⽅も多いのではないでしょうか。
この辺りで定番と⾔えば「ゆかり、エビ、⻘のり、⿊ゴマ、⽣姜」。
我家では柚味も作っていて、⽢いので⼦どもたちにも⼈気です。
かき餅って、優しい味で余計なものは⼊っていないし、⼦どものおやつにもとっても良いですよね。
私もおやつにかき餅をよくもらっていました。
そして⼤⼈になってからは、榧のかき餅にばかり⼿が伸びます。
かき餅は、さまざまなバリエーションで⽇本中にあるようですが、榧の実が⼊っているのは、この辺りと近隣の県に限られているようです。
北勢町の中津原には、いなべ市の⽂化財指定となっている「⼤榧」や「寝榧」があるそうです。
昔は市内各所にたくさん榧の⽊があったそうで、とても⾝近な存在だったようです。
しかし、現在、榧の⽊はかなり減ってしまい、榧の実も貴重なものになりました。
榧の実に親しみのある⽂化と共に、榧の⽊がこれ以上減らず、雄と雌と揃っていつまでも実をつけていて欲しいなと願います。
ー材料ー
・餅⽶ 1.5 升(前⽇⽔に漬けておく)
・砂糖 400g
・塩 30g
・タンサン(ベーキングパウダー) ⼤1
・卵 2 個
・カヤの実 300g(中⾝の状態)
1. ボールに砂糖、塩、タンサンを⼊れよく混ぜておく
2. ①のボールにカヤの実も⼊れておく
3. 別のボールに卵を割り混ぜておく
4. 蒸した餅⽶をつく(餅つき機をセットし蒸してつく)
5. 餅がつけたら②の材料のボールに餅を取り出し混ぜる
6. そこへ卵を2 回に分けて⼊れ、さらに2分つく
7. ついた餅を容器に⼊れて陽の当たらないところに2 ⽇程置く
(容器/タッパー、バンジュウ、⽜乳パックなどご家庭にある合った容器)
8. 包丁が通る位に固まっていたら、⾷べよい⼤きさになるよう
まずブロックに切り、それから3 ミリほどの薄さで切る(餅切り機が無ければ包丁で切る)
9. 陽の当たらない室内に新聞紙など敷いて、重ならないよう全て並べ1週間程⼲す
10. 裏返して2 週間程さらに⼲してから寄せる
11. ⾷べる分を少しずつ紙袋(無しでも⼤丈夫)に⼊れ
レンジ(回るタイプが上⼿にいくそうです)でチンする
※焼いたり、油で揚げても⾷べられます。レンジが⼿軽にヘルシーに頂けオススメです。