● 今回の先生 さとうみきさん
保健室の先生として25年働く
足もみセラピストやこめこ小町の屋号でマルシェ出店など 人生謳歌中☆
好物/天ぷら
● テキスト・イラスト 川瀬 知代
個展など発表の他、アパレルや書籍などにて絵を描く
『粒粒』の名で食にまつわる活動を行う
2020年末に故郷いなべに拠点を移す
今回ご紹介するのは「とんがらし汁(唐辛子汁)」です。
教えてくださったのは、藤原町にお住まいの「さとうみきさん」。
さとうさんは「okudo中村舎」で月に1回「季節の食仕事」のイベントの企画と運営をしていらっしゃいます。
9月の「おはぎ/とんがらし汁」の回にあたり、とんがらし汁を調べていたところ
同じ藤原町内でも、とんがらし汁がお葬式で出されていたところと、そうでないところがあるという事を不思議に思い、更に調査を進めたそうです!
さとうさん調査によると……
三重県の北勢地方(いなべ、桑名、菰野、四日市など)や愛知・岐阜の一部に伝わる風習だそうで、とんがらしが胡椒に変わる地域もあり「胡椒汁」「泣汁」「涙汁」とも呼ばれているのだそうです。
今でこそお葬式のほとんどが会館葬になりましたが、以前は、お葬式も法要もどこも自宅で行われていました。
その際、組の方々に「非時」(準備や炊事などの裏方仕事)をしてもらいます。
炊事の中でも唯一、とんがらし汁だけは男衆の担当だったところもあるそうです。
大きなお鍋でグツグツと煮立つ大量のとんがらし汁。
想像するだけでヒィ~っと涙が出そうです。
そもそも、
普段の食卓には出ないけれど、お葬式の時にだけ登場する「とんがらし汁」の材料は、「お出汁/醤油/酒/鷹の爪」のみ。なんという簡素!
基本的に具はなし(とんがらしもお椀にはよそわない)
簡素さがいかにも葬いの食という感じです。
実際に私も作ってみましたが、あれれ。これが思っていたより美味しい。。。
結構好きかも(笑)
好きな人は病みつきになると聞きましたが本当そうです! とても美味しいです。
辛ければ辛いほど良しとの事でしたので辛くしてみましたが、うん。泣けます。
喪服姿で集まった皆さんがお汁を口にして。
「この辛い汁でむせて涙が出るわ」「泣けてくるほど辛いなぁ」と
故人を偲んでこみあげる涙を、お汁のせいにできちゃうなんて。
昔の人たちの奥ゆかしさがなんとも愛おしい風習ではありませんか。
組が変われば人も変わる。
人が変われば、そこに工夫や好みも加わり、地域ごとに少しずつ変化があって、そこに絶対的な正解はなく
とんがらしが胡椒に変わったり。出汁を取った干し椎茸が具になっていたり、お味噌汁に一味や七味を添えて出すようになったり。
色々な変化を遂げてきた「とんがらし汁」だったのでしょう。
私の生まれ育った地域や、今まで出会ってきたお葬式では、いずれもお味噌汁でした。一度でいいので、昔ながらのお葬式で「とんがらし汁」をよばれて、泣いてみたかったです。
みなさんのお住まいの地域はいかがですか?
もし機会あれば、元々お住まいの方に聞いてみても懐かしいお話が聞けて面白いかもしれませんね。
『とんがらし汁』の作り方:(約5人分)
お鍋にだし汁(1000cc)と酒・醤油(適量)で味付けし
鷹の爪(5本~好きなだけ)を小口切りにして鍋に入れ煮立たせる
【 募 集 】
『eat紡ぎ』では、いなべで暮らす皆さまの、ご家庭に受け継がれている味・お料理などを教えてくださる方を常時募集しています。
(例)ご飯のお供(おかず、お漬物、汁物)、甘味(和菓子、洋菓子)、調味料(お味噌、醤油)、お節の一品、生産者さんだからこそ知る美味しい野菜の食べ方…など
■ 応募先
① メール info@inabe-gci.jp
② 郵送または持ち込み(持ち込みの場合の受付時間:平日9:00-17:00)
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