「ねえ、よかったら、一緒にやらないか?」
うまくいかない時が、誰の人生にも必ず訪れる。
そんな時、心ある人が発した、やさしい言葉に何度救われたことだろう。
批判めいた厳しい言葉の連鎖が、ネットから実社会まで飛び火するこの時代。
やさしくて、いいじゃないか。
人が人を想う根源的な美しさを、この人は、思い出させてくれる。
そう、その人は、やさしい。
洋食屋SAKURAのオーナー、平野 孝幸さん。
いなべ市員弁町岡丁田で、洋食屋やパン屋を経営し、デリの製造販売を行う。
マスコミにも取り上げられ、市内外からも注目される生粋の料理人だ。
そんな平野さんが、昨年から、初心者を対象にさくらポークを使った料理教室を定期的に開催するようになった。
きっかけは、豚コレラだ。
昨年、日本中の養豚場やジビエ業界に未曾有の被害をもたらした、豚コレラ。
いなべ市の特産品の一つ、さくらポークを提供する松葉ピッグファームも、全頭処分という状況に追い詰められた。
「もう、涙が出てね。昔、辛酸を舐めた記憶がよみがえって、放っておけなかった」と平野さんは語る。
自身も十数年前、ハンバーグを中心としたメニューでレストランの経営を軌道に乗せた頃、狂牛病による風評被害で売上が激減した経験があった。
松葉ピッグファームの松葉 崇道さんとは年齢も近く、その人柄や熱意にも、心を突き動かされたという。
「一緒に、地元の生産者を支えたい」
松葉さんに声をかけ、料理教室を開催するようになった。
1月23日(木)には、その5回目となる料理教室が開かれる。
その教室では、さくらポークのバラ肉や肩肉といなべの新鮮な野菜を使った煮込み料理を作る。
圧力鍋を使う初心者対象の料理で、ちょうど今、参加者を募集中だ。
気軽にコツなど要点を話していくそうだが、……やさしい平野さんは、毎回、参加者の要望に押され、つい本題の料理以外にも調理の説明や実演などを細かくするそうだ。
「いや、いいんですよ、それで」と苦笑する。
やさしい、……のだが取材中にシャイなその人は、やさしさを隠そうとした。
いなべのまちに眩い朝日が差し込み、2020年の幕が開けた。
翼の傷が癒えたら、きっと誰も今年、また大空へ羽ばたけるのだ。
「一緒にやらないか?」
やさしい人が、いなべにいた。
やさしい言葉が、いなべにはあった。
うまくいかない時が、誰の人生にも必ず訪れる。
そんな時、どうか、さくらポークを味わってほしい。
「美味しいね」「うん、美味しいね」……ほら、やさしい笑顔になれるから。
【平野オーナーの煮込み料理教室 参加者募集中】
今回登場した洋食屋SAKURAのオーナー、平野 孝幸さんが、さくらポークのバラ肉といなべの野菜を使った煮込み料理教室を開催。
初心者向けで、圧力鍋を使ったことがないという方もお気軽にご参加いただけます。
【日 時】 1月23日(木)11:00~13:00
【場 所】 ポークプラザ松葉2階(いなべ市北勢町阿下喜2998-1)
【参加費】 1名2,200円(税込)(サラダ・ドリンク・デザート付)
【定 員】 12名(先着順)
【問合せ・申込】 0594-72-3032(ポークプラザ松葉)
【Credit】
〈撮影場所〉
洋食屋SAKURA (いなべ市員弁町岡丁田2112-7)
〈取材撮影ご協力〉
洋食屋SAKURAオーナー 平野 孝幸さん
〈撮影/インタビュア〉
いなべ市役所 企画部 政策課
※洋食屋SAKURA、松葉ピッグファーム提供の画像も使用