そうか、ギターを弾くように生きればいいのだ。
力を抜いて、心のままに。
ほら、表情が柔らかくなったら、人に優しくなった。
このレフティーのギター・プレイヤーが奏でる温かな音色は、心の奥底まで響いた。
今年4月、四日市市から北勢町に移住した山田晋吾さん。
ミュージシャンとして活動するほか、フレイトレシピという屋号でドリンクやスコーン、焼き菓子などを出店販売するなど、多くの顔を持つ。
いなべ市へ移住したきっかけは、市の空き家・空き地バンク制度。
やっとたどり着いた物件は、家は取り壊す予定で土地だけが売りに出されていたものだったが、晋吾さんは一目で家ごと活用することを決意したそうだ。
居間から見る景色は、自然豊かで美しい。
ここで深呼吸をすると、ふっと気持ちが軽くなる。
「この家が私たちの商売に合っていて理想的です」と晋吾さんは語ってくれた。
したたる果汁。
自然の恵み、そのままだ。部屋が、甘夏の甘酸っぱいフレーバーに包まれた。
ご夫婦は、自宅で製造したジュースや菓子などを市内外のマルシェで出店し、販売する。
家にはジュースの材料となる大量の甘夏を置く場所があり、移住するのに魅力的だったそうだ。
これが、マルシェで好評の甘夏ソーダ。
混ぜながら飲むと、昔懐かしい味と、都会的に洗練された味を折衷したかのような、いなべオリジナルの味がする。
縁側に並ぶ晋吾さん、舞子さん夫婦に、柔らかな日の光が差し、自然と笑みがこぼれる。
甘夏ソーダのような、弾けるライフスタイル。
甘夏のような、まあるい、まあるい笑顔。
そう、シュワッとした山田さん夫婦がいなべ市に来てくださって、街がフレッシュになった。
晋吾さんがいなべの街に響かせるギターの音色は温かい。
凝り固まった私たちの心をリラックスさせてくれる。
ギターを弾くように、この街で生きていけないだろうか?
しばらくそんなことを考えていたら、急に笑えてきた。
理屈っぽいね。
もういいや。山田さん、甘夏ソーダを1つ!
【Credit】
〈取材撮影ご協力〉
フレイトレシピ 山田 晋吾さん、舞子さん
〈撮影〉
いなべ市役所 企画部 広報秘書課
※一部でご本人提供の画像も使用
〈編集〉
いなべ市役所 企画部 政策課
〈撮影場所〉
北勢町新町