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Inabeな人々|にしまちバインミー 中村紗也香さん

「靴みたいでかわいいんです。”ツン”としているんじゃなくて”...

13
January
2021
投稿者:事務局

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「靴みたいでかわいいんです。”ツン”としているんじゃなくて”ころん”としていて」

ここはいなべ市北勢町の飲食店「にしまちバインミー」。ベトナムのサンドイッチ「バインミー」を主に扱うベトナム料理の店だ。

バインミー用のパンを前に店主の中村紗也香さんは「パンなのに靴っていうのもおかしいんですけどね」と微笑む。確かに、中村さんが手にすると、子どもがはくような、可愛らしい靴の形に見えてくる。

手づくりのハム、レバーのペースト。「つちっこの会のりちゃん農園」のパクチーやいなべ産を中心とした野菜。パンはにぎわいの森「魔法のぱん」がにしまちバインミーのためだけに作ったもの。地域の食材をふんだんに使い、定番の3種と、日替わりの1種を提供している。

定番「ベトナムハムのバインミー」は大根と人参のピクルスとさっぱりしたベトナムハム、焼き卵をサンド。飽きのこないシンプルな味付けだ。パリッとしたパンとしっとりとした具材の食感の違いも楽しい。

「定番はよく出るので、ベトナムっぽさを残しながら日本人の口に合うよう、試作を繰り返しました」

毎日でも食べたい親しみやすさには、たっぷりのこだわりが隠れている。

しかし、なぜいなべでベトナム料理? それに、なぜバインミー?

中村さんの店づくりまでの足跡をたどりたい。

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中村さんは四日市市出身。高校卒業後、大阪府で進学しそのまま就職した。

2013年ごろ「東南アジアをすべて周りたい」と、初めての一人旅でタイを訪れ、その後、マレーシア、ベトナムなどを巡った。

「ベトナムは、あまりオシャレでないイメージだと思いますが、実際はめっちゃオシャレ!歩くだけでも楽しいし、女の人ははまると思いますよ」

歴史保存地区ホイアンの黄色い建物や幻想的なランタン、鮮やかな花柄のインテリアが印象的なハノイのカフェなどに魅了された。ホーチミンでは大阪のような地域性を特に気に入り、5、6回は訪問した。

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そして、運命的なバインミーとの出会い。

「まず、ベトナムでパン?という意外性がありました。野菜が入っていて、ハーブも入っていた。あっさりとした味付けなので、みんな調味料を使って自分好みにして食べています」

衝撃を受けた。それまで食べてきた東南アジアの料理は極端に甘い、辛い、脂っぽいものが多く、食べる側がアレンジできるものではなかったからだ。

ハノイ、ダナン、ホイアン、ホーチミン各地域でさまざまなバインミーを食べ、現地の料理教室で具材の作り方を学んだ。

帰国後も食べたいと思ったが、四日市市にUターンすると、県内にベトナム料理の店はあっても、バインミーの店はない。名古屋市の専門店にまで通った。

そうして理想の味を追い求めるうち、自分で店をひらきたいという気持ちが芽生える。

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「お店をやりたいという想いを、周りに応援してもらったんです」

中村さんが大阪で暮らしていたころ、両親が四日市市からいなべ市に移住した。「いつかは自分もいなべに」と物件を探していたが、父親が体調を崩したことをきっかけに、移住を決意。2018年秋、店が持てる間取りの空き家を北勢町阿下喜地区で見つけ、引っ越した。

転居後しばらくは、いなべ市地域おこし協力隊として、事務仕事をしながら開店資金をためる予定だった。しかし、中村さんの熱意を見た関係者らが、空き家活用でのまちづくりを進めるためにも、すぐに開店準備に取り掛かるよう背中を押した。

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中村さんと夫が中心となり、手作業で空き家を改装。現地のカフェを参考に壁を塗ったり、カーテンを選んだり。棚や机・椅子は手づくりのものもあり、そこに置かれたイラストや小物は友人などの作品だ。

もとからあった日本家屋独特の格子戸はそのままに、壁はホイアン風の黄色に仕立てる。繊細なタッチで描かれたイラスト、素朴な風合いの籠細工、夫が仕入れたアメリカ雑貨商品も。由来からはバラバラの印象受けるものたちを全体的に眺めると、なぜか一体感がある。

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中村さんと夫が中心となり、手作業で空き家を改装。現地のカフェを参考に壁を塗ったり、カーテンを選んだり。棚や机・椅子は手づくりのものもあり、そこに置かれたイラストや小物は友人などの作品だ。

もとからあった日本家屋独特の格子戸はそのままに、壁はホイアン風の黄色に仕立てる。繊細なタッチで描かれたイラスト、素朴な風合いの籠細工、夫が仕入れたアメリカ雑貨商品も。由来からはバラバラの印象受けるものたちを全体的に眺めると、なぜか一体感がある。

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テストオープンを重ね、2020年の春、にしまちバインミーがオープン。

店では、中村さんが選んだベトナム雑貨の販売もしている。日本にないデザインや材質かつ縫製などの質が高いもの、何より「自分が好きなもの」を並べたいという。

コロナ禍のため現地で直接の買い付けはできない。偶然にも物件の大家の娘夫婦がホーチミン在住だったため、いまは代理で仕入れてもらっている。

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「カフェやアパレルでの仕事を今まで経験しましたが、いなべの人はゆっくりしていて、みんな待っていてくれます。バタバタしてお待たせしてしまったときも、「ええよ、ええよ」と言ってもらえて、のんびりゆったり」

そう話す中村さんも、のんびり、ゆったりとした雰囲気だ。

一方で、ゼロから店舗を作り上げるような、強い想いや行動力を持つ人だ。

旅に出る決意し、バインミーとの出会いを仕事につなげた。いなべに移住し、店の改装から経営に関するさまざまなことを主体的に行っている。

中村さんは一つ一つ、自分の感覚や知識を信じて選択し、行動している。そして、支えてくれる周りの人を信じて受け入れる。

おだやかな人柄につつまれた情熱は、自分と他者を信じることから生まれている気がする。

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今後は、バインミーをもっと突き詰めていきたいそう。

「ハーブの種類をもっと増やしたいです。シソ、ドクダミ、セリ…日本人はパクチーが好きだけど、ベトナムではもっとたくさんのハーブを出してるんです」

いなべでは多種のハーブ栽培をしている農家がなかなかないという。中村さんなら、自分のペースで軽やかにこの課題もクリアしていきそうだ。

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寒い日はフォーを。ティータイムにはスイーツとベトナムコーヒーを。

店ではバインミーのほかに、さまざまな料理を提供している。どれもやさしい味わいだが、ベーシックなおいしさの土台は、調味料でアレンジをしても変わらない。

芯のあるやさしさ。作り手そのもののような料理たちだ。

旅行気分を味わいたいとき、新しい世界を覗きたくなったとき、自分の選択に自信がなくなったとき。にしまちバインミーの扉を開いてほしい。

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ホームページ

https://nishimachi-banhmi.shopinfo.jp/

フェイスブック

https://www.facebook.com/nishimachibanhmi/

インスタグラム

https://www.instagram.com/nishimachi_banhmi/

【Credit】

〈取材撮影ご協力〉

にしまちバインミー

〈撮影・取材〉

いなべ市役所 企画部 政策課

〈取材日〉

令和2年12月18日