ふわふわと雪が舞う中、しなやかに流れる白滝を背に、ひょっこりと顔を出す3人。
チャーミングなポーズをとるのは、いなべ市最北端の地、北勢町川原に住む、東林寺総代の松葉市郎さんと松葉和夫さん、近藤義和さんだ。
幼い頃からずっと一緒で、今でもお互いを “ちゃん” 付けで呼び合うほど仲が良い。
白滝は東林寺境内東方にあり、取材当日は、雪をまとった美しい木々に囲まれていた。
冬でも凍ることなく、清くやわらかな水が岩盤を伝って流れ落ちる。
今回は、自治会長の浅山さんと、総代の皆さんに、東林寺や川原での暮らしについて話しを伺った。
今から約1200年前。行基菩薩が、白滝に沈んでいた光を放つ木で、聖観世音菩薩の像を彫り、安置するために建てた祠が今の「東林寺」といわれている。
このことから、地元では東林寺を「観音さん」と親しみを込めて呼んでいるそう。
総代は村からの役で3年を1期とし、2期6年務める。
元旦祭や縁日をはじめとする、年中行事の仕切りや、組の担当者と一緒に掃除や花を変えるなど、東林寺の管理全般を行う。
ふと、本堂階段下にある掲示板に、愛らしい絵と滋味深い句が書かれていることに気付く。
これは、月1回、臨済宗書物から選んだ一句を、近藤義和さんがしたためているものだ。絵は、近藤さんの奥さんがチョークで描いており、夫婦の合作だという。
こちらも総代の大切なお務め。
総代を務める皆さんが小学生だった昭和22年頃は、大家族が当たり前で、川原の人口はとても多く同級生もたくさんいたそう。
山で遊び、かくれんぼをしたり、かつてドンコと呼ばれていた「カジカ」を捕まえたり、サンショウウオをモリで突いて食べたこともあるとか。
その味は、美味しい白身魚の味がするそうだ。自然豊かな川原だからこそ出来る遊びを、思いっきり楽しんでいたとのこと。
自身が生まれ育った馴染みのあるところで、ずっと一緒に暮らす友がいること。
そのことこそがここで暮らす魅力であると教えてくれた。
「この先も、東林寺を今のまま維持していきたい。」と力強く語る、総代の皆さん。
変わらぬように、その場所を守り抜くことの大切さや大変さは、その地に長く暮らしてきたからこそ分かることだ。
生まれ育った地への愛情と使命感に、川原の未来を感じた。
秋には真っ赤に染まる紅葉が美しく、四季折々の彩りを楽しむことの出来る東林寺。
運が良ければ、虹をまとった白滝が見られるそうだ。
白滝に来るなら、特にお勧めの季節は夏とのこと。ひんやりとした滝の冷気は、マイナスイオンたっぷり。
ぜひ足を運んでみてほしい。
【Credit】
〈取材撮影ご協力〉
東林寺 信徒総代
近藤 義和さん
松葉 和夫さん
松葉 市郎さん
※2018年1月末日をもって、上記3名の内2名は交代となります。
秋葉神社 氏子総代
一木 一男さん
川原 自治会長
浅山 光敏さん
〈撮影〉
高橋博正写真事務所/山の上スタジオ
高橋 博正
〈インタビュア〉
いなべ市役所 企画部 政策課