いなべ市最北端の地、北勢町川原を、高台から見守り続けている神社がある。
太陽の光と木々の影が、ゆらゆらと美しく映り込むこの社には、火の神様が住んでいる。
昔川原では、火事が多く発生したことから、村の安全を見渡せる場所に、秋葉山本宮秋葉神社の分祀として、この秋葉神社を建てたという。
静岡県浜松市にある秋葉山本宮秋葉神社は、古来より火防(ひぶせ)や、火そのものに対する信仰があり、火災鎮護を祈る地域や消防団など、火を扱う職業の方の参拝が多いそうだ。
「毎年お札をいただきに静岡まで行っています。」と話すのは、秋葉神社の氏子総代を務める一木一男さん。
今回は、一木さんをはじめ、自治会長の浅山さんと東林寺総代の皆さんに、話しを伺った。
氏子総代は、秋葉神社のほか、川原にある丸山神社と稲荷神社の役も担い、3名で3年間務めあげる。日々の社の管理のほか、3月には秋葉神社祭を行う。
比較的新しく見えるこの社は、雨漏りや経年劣化のため、実は約10年前に建て替えられた。
大切に管理されているためか、とても10年もの月日が経っているようには見えない。
「小さい頃、秋葉神社の階段を、上から数えて転げ落ちたんやわ!」「そりゃ〜危ない!」と笑う総代の皆さん。
秋葉神社まで続く参道の階段は、100段を超える。
昔、山道だったという階段の横にある道は、今では車が通れるよう整備され、秋葉神社専用の駐車場へと続いている。
ここから見える鈴鹿山脈と、いなべの街並みは、息を飲むほどの絶景である。
偶然、この日は双眼鏡を片手に足を運ぶ地元の方に出会った。
浅山さんと一木さんが立つ、こんもりとした見晴らし台は、以前鉄塔を建てる工事業者の資材置き場だったそうで、月日を経てこのような形になったという。
※後ろに柵など無いため、十分にお気を付けください。
この日はすっきりと晴れ、空気も澄んでいたため、雪化粧した美しい鈴鹿山脈を一望することが出来た。
眼下には、藤原町にある中里ダムや梅林公園、岐阜県上石津にある水嶺湖までもが見渡せる。
「あそこをもっと整備しやなあかんな〜、梅林公園が見にくい!」と、自然に景色のことが話題にあがる。
この絶景を守るのもまた、長くこの地に住まう方々の大切な役目なのだろう。
【Credit】
〈取材撮影ご協力〉
秋葉神社 氏子総代
一木 一男さん
東林寺 信徒総代
近藤 義和さん
松葉 和夫さん
松葉 市郎さん
※2018年1月末日をもって、上記3名の内2名は交代となります。
川原 自治会長
浅山 光敏さん
〈撮影〉
高橋博正写真事務所/山の上スタジオ
高橋 博正
〈インタビュア〉
いなべ市役所 企画部 政策課